理論と刀と恋の関係。

文久3年の春

。₀:*゚✲゚*:₀。




「土方さーーーん!」



スパーンッ、と良い音をたてて障子を開く。



部屋の中には、予想通りの表情を浮かべる鬼---壬生浪士組 副長、土方歳三---の姿があった。



「総司てめぇ、何回言ったら分かんだよ!

部屋に入るときはだな、許可が下りてから__!!」



正直、何回言われようが別に直そうと思っていない。



...面白いし。



僕---壬生浪士組、沖田 総司---は土方さんの言葉をばっさりぶった切るように口を開いた。



「巡察行ってきますねー」



ごるぁ待て総司ー!!とか聞こえた気がするけど無視。



ほんっと、土方さんをからかうのは面白い。



...うるさいけど。



帰りに甘味処でも寄ろうかなーなんて考えながら、門の外へと足を進めた。



ついこの間まで枯れ木の様だった桜が、今ではあちらこちらに蕾をつけているのを見て、もう春だなあ、なんて風流滋味たことを思う。






この後、自分の人生を変える出会いが待っているなんて、僕は知る由もなかった。
< 5 / 171 >

この作品をシェア

pagetop