俺様社長と秘密の契約

…一時の触れ合い、深くなる絆

…人の目を避けるように、私は会場を出た。ただ、息苦しかった。

知らない人ばかり。好奇の眼差しで見つめられる。

表向きは、凛としていたつもりだったが、内心、疲れ果てていた。

早く一人になりたかった。どんな目にも見られない場所に。

「…はぁ」
やっと、息ができた。会場に戻るまでは、心安らかにいたい。

…ビクッ。
誰もいない場所のはずなのに。

…誰かが私を後ろから抱き締めた。
薄明かりに照らされた腕は、スーツ。

「…龍介、さん?」
「…」

その問いに、相手は答えない。それに驚きつつ、恐怖も襲ってきた。

「…龍介がよかったか?」
「…⁈」
その声に、ただただ驚いた。

…どうして?
私が見る限り、いなかったはず。

…招待客の中にいたのか?
おかしい話ではない。
御堂は、日本の中でも、有数の大企業だ。

「…龍吾、さん?」
そっと振り返ると、そこには、本当に1番会いたかった龍吾の姿があった。
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