……っぽい。
◆珍獣の飼育員は俺である
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橘海月という人は、いつもパワフルに珍獣っぷりを発揮させているが、その実、とても臆病な心をいつも隠している人でもある。
いや、隠しているというよりは、自分では全くそれに気づいていないと言うべきだろう。
とにかく、俺が強引に囲って日夜甲斐甲斐しく飼育している珍獣こと先輩との同居生活は、なんだかんだで上手くいっていると思う。
……恋愛方面以外は。
料理も珍獣並みかと思いきや、体のことをよく考えた和食中心のメニューを作ってくれるし、平日はさすがに無理だが、週末は手間と時間を惜しまない手の込んだものを作ってくれる。
洗濯はわりと苦手なようだが、そのほかの家事は丁寧で、トイレなんていつもピカピカ、洗面台の鏡も先輩と同居をするまでこんなに綺麗なものだったのかと驚いたくらいだ。
家庭的で、その上献身的。
普段とのギャップがあまりに激しいので最初のうちは面食らうことも多々あったが、これも歴代の男たちに仕込まれ疑いもせず尽くしてきた結果なのだろうと思うと、なんだか居たたまれない気分になってくるのは言うまでもない。
でも可愛い。
けど残念。
それでも、そこがまた好きなのだけれども。