Secret Mission

一つの約束と一つの取引




「っ…な、なんだよ!やろうってのか!」


鈴木の横にいた男、新井が怯みながらも水樹のことを睨みつける。


「…そうですね。あんまり、キャラは壊したくなかったんですけど、仕方ないですから。」


ニッコリと、いつもの水樹からは感じられないような笑みで笑いながら言う。


「本当のキャラそっちかよ…。」

「いえ、これも本物という訳ではありませんよ。ただ、こっちのほうが楽なので!」


二人が話してる時、隙だと思ったのか、鈴木が飛び込んでくる。
水樹はそれをさらりとかわし鈴木の背中に肘打ちをする。

肘打ちされたことにより、地面に転がった鈴木に追い打ちをかけるように春が蹴りを入れる。


「っが…!」

「てめぇ…何しやがる!」


それを見て怒ったのか、内山が新井と同時に水樹に襲い掛かる。
水樹のほうが弱いと思ったのだろうが、それは大違いである。


「あ、ナイスプレーです。千葉くん。」

「そりゃどーも。」


話しながらだと言うのに、水樹は平然と二人の攻撃をかわし、蹴りを入れ、二人は吹っ飛ぶ。
と言っても、トイレはそこまで広くないのですぐに壁に打ち付けられたが。


「な、何なんだよお前…。…くっそおぉ――!」


立っているのは渡辺と水樹と春。もう勝てる見込みがないというのに渡辺は叫びながら殴りかかってくる。


「何って、普通の学生ですよ?」

「…そういう意味じゃないと思うけどね!」


水樹は渡辺に横から蹴りを入れ、春は顔面を殴る。


「手応えが全く持ってないですね…肩慣らしにもなりません。」

「てか、お前……それ、ウィッグだったのか?」

「…へ?」


髪をかきあげた時だろうか、どうやらウィッグがズレてしまったらしく、地毛…黒い髪が姿を表していた。


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