Turquoise Blue 〜空色のベース〜

ライヴハウスへの招待状






マキちゃんちは、五個先の駅

急行が止まる



うちの方は
建て売り住宅が多いんだけど
この辺は緑が多くて
大きな家が目立ってる



四角い壁に、四角い建物の白い家

表札には『真木』


シノがチャイムを鳴らすと
応答は無くて、玄関が開いた




長い髪を上でまとめて
ジャージで出て来たのは
顔色の少し悪い、マキちゃんだ








マキちゃんの部屋は
ホントにミュージシャンぽくて

フローリングの床に
でっかいコンポとか
ギターが三本もあったり

黒い本棚には、
色んな音楽雑誌とか、スコアとか





「でも…」


「関係ないよ
私だって、
マキちゃんが何でもしてくれるから
任せっ放し多かったし
また、楽しくやろうよ」


「うん〜
ユカちゃんもそう思うよね?」


「…え
う うん!!もちろんそうだよ!」


「……ありがとう 皆 」


「マキちゃん、また宜しくね!」





− やばい。

部屋を見てボーッとしているうちに
なんだか話が進んでた……



「でね
ボーカルの件なんだけど」



シノが答えた

「マキちゃんが
ボーカル兼ギターでよくない?」



「今、シノのお母さんから
ファックス貰ったんだけど
1バンド3曲行けるからさ
皆、一曲づつやらないかなって」


「私は歌は恥ずかしくて無理!
キーボードで充分〜!」



「シノは?」


「叩くのにやっとで
絶対歌に釣られる自信が…」



「じゃあ、ユカ歌ってみない?
たまにベース弾きながら
小声で歌ってる事あるよね」



「え」


「はい。決定!!!」




「え え え
なに?!無理だよそんなの!!!
何言ってんの?!!」


「私もギターだけ思い切り弾きたいし
三曲嫌なら、一曲でもお願いしたい」


「無理だってば…」


「ここは協力して!お願いします!」





…マキちゃんに
頭を下げられてしまった…






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