Turquoise Blue 〜空色のベース〜

黒いブーツの音

「なんのかんの言って
べーグル、二つ目突入してんじゃん」


『…食ったら腹減ってた』



最後に ぐしゃぐしゃっと
包み紙を袋に入れて
小さく『ご馳走様』と言った

…袋に向かって。





− 私は私で
いつも皆と居る時は
大口あけて、こぼしたりして
ユリちゃんに怒られながら
食べてるのに

小さくちぎって
べーグルを口に運んでる


なんか、そんな自分に
居心地が悪かった



『…やべ 眠い 』



キョロっと眼を動かして
そう言って『彼』は前を見つめる

…こういう人を
眼光が鋭いっていうのかな


ただ立ってる時は
なんかふらふらしてるのに


前髪をあげたりすると
一気に印象が変わる


横顔が
すごく綺麗だって 思った






「…ターコイズ 」


『…ああ  ピアス 』


「流行ってるの?
…知り合いの男の先輩も
指輪でつけてた」


『彼女から貰ったんじゃない』


「…え」


『自分に友情、愛情を持つ人から
ターコイズのリングを貰うと
あらゆる邪悪から
守ってくれるんだってさ』


「…そうなんだ 」



『このピアスは 自分で買った』



「……虚しくね?」


『しかも片方
緑川さんが欲しいって言って
微妙にお揃いだし』


「……緑川さんって誰?」


『うちのギタリスト。』


「…っ」


『あの人ジーンズショップに勤めてて
たくさんピアスつけてるから
別にいいけど。』


「アハハハハ
でっ でも…あははは」


『アズライトを見た日に
自分で、開けた』


− ! −




「………へぇ」




『…去年 やっぱり夏

映画見ようと思って
新宿来た時に

駅前の掲示板で
初めてアズライトを見たんだ 』






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