覚醒者3号-第二次調査報告-
第三章

まともな呼吸も出来ないまま、ひたすら走り続ける。

時折振り向く。

「……っ!」

背後から、各々の凶器を手にした人々が迫ってきていた。

鎌、包丁、ノコギリ、鉈、金槌…。

日常用具に殺意を秘め、ゆっくりとした足取りで私を追って来る、殺気なき追跡者達。

焦点の合わない瞳。

中には白目さえ剥いている者もいる。

何かにとり憑かれたように、ただひたすらに私を追って来る。

叫び出しそうになりながら、私は彼らを振り切る事だけに専念した。

彼らに捕まったら最期だ。

私はあの何の感情も持たない眼に見据えられながら、まるで野菜を刻むみたいに包丁で切られ、草を刈るように鎌で切られ、釘を打つように金槌で殴打される。

殺気なき凶行によって、その命を奪われるのだ。

そんな死に方は御免だ。

なりふり構っていられない。

私は死に物狂いで走り、追って来る人々を突き放した。

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