覚醒者3号-第二次調査報告-

ななみ

覚醒者3号。

パイロキネシスを行使する三人目の覚醒者。

機関の施設にいる時に話は聞いていたけど、ここまで高い戦闘能力を有しているとは思わなかった。

機関にいれば、1号同様に実行部隊の中核を担う存在になっていただろう。

それでも彼は機関に牙を剥いた。

無関係の人間を巻き込む機関が許せない。

それだけの理由で、規模も戦力さえも把握できない機関に立ち向かう。

超能力に覚醒したとはいえ、私には理解しがたい話だった。

絶対に機関には勝てない。

どんな強力な超能力を持っていたとしても、その能力を生み出したのは機関そのものなのだ。

いわば私達の創造主。

創造主には勝てないと道理が決まっている。

しかし。

「ななみ」

人狩り村の異名を持つ機関廃棄場を立ち去る直前、3号…小山田哲平は呟いた。

「お前のような犠牲者も、もう出すべきじゃない。人間を人間として扱わない機関は、絶対に許すべきじゃない」

そう言って。

彼は私を『人間』と言ってくれた。

機関の施設にいた頃は、私を『素体』、『素材』としてしか扱わず、773号という番号でしか呼ばなかった機関の人間達。

それでも彼は、そんな私を人間だと言ってくれた。



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