海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

トラブル

――――
―――――…

検定が終わり、ワープロに関してはまず一段落した事で、相葉先生に会いに行く口実が簿記になる事が多くなった。


以前にもあったような、先輩からの嫌がらせも未だに続いていたけれど、

そんな事があっても止められない位、私は相葉先生の事が好きになっていたし、

悪口を言われるだけで、直接呼び出されたりするわけでもないし…


私は、

『まぁ、いいか。』

そんな風に、気楽に思っていた。


ある意味、私には度胸があるのかもしれない。



季節はもう夏になっていた。

高校2年生の夏。



私はそろそろ出るであろう、ワープロ検定の結果を心待ちにしていた。


手応えがあった分“きっと賞状が手に入る”という自信があった。


そして、その日が来た。


検定の結果が出たのは放課後で、校内の1階ロビーにある掲示板に貼り出された。


私が通う学校は、殆どの検定試験の結果がこの掲示板に貼り出される。


書き初め用の半紙を何枚も繋げたような細長い紙の先頭には、


【3級合格者】


という見出しがあり、その後には私と一緒に検定を受けた、何人もの先輩達の名前が連なっていた。


「さく、名前探さなきゃ!」

「うん、一緒に探して?」

「もちろん!」


一緒にロビーに来ていた瑞穂と梢の3人で、私の名前を探し始めた。


ドキドキしながら順番に見ていくと、


“河原さく”


連なっている名前の一番最後に私の名前があった。


「ちょっと!さく、やったじゃん!おめでとう!」


私達は3人で手を繋ぎ、輪になってピョンピョンと飛び跳ねて喜び合った。
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