覚醒者3号-最終調査報告-

矢崎

「分隊長」

部下が報告する。

「ターゲットがエリア2へと侵入しました。現在接近中です」

「ん」

銀色のマグカップでコーヒーを飲みながら、俺はモニター室の画像を眺めた。

…小さな画面の中で蠢く、3人の女子供。

こいつらのせいで、俺の株は下がる一方だ。

ボスはああ言っていたものの、俺は額面通りには受け止めていない。

恐らくは今回の作戦が最後のチャンスだろう。

うまく連中を誘導し、ボスの前に引きずり出す。

これに失敗すれば…。

覚醒者実験の被験体として、怪しげな薬を投与される羽目になるのは俺かもしれない。

精神も肉体も崩壊させるような、人体の影響への配慮など皆無の劇薬…いや、いっそ『猛毒』と言っても過言ではないかもしれない。

そんな薬漬けにされて、廃人同然となるか、あの覚醒者1号のようなイカレた兵器になるか…。

どちらにせよ、想像するだけで悪寒が走る。

…失敗は許されねぇんだ…絶対に…!

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