海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜

友達はライバル

私の恋のライバル、中川加奈子。


正直なところ、彼女がどういう子なのか私は全く知らなかった。


中学も違ったし、クラスが同じになった事も無い。


知ちゃんという共通の友達がいるのに、話す機会すら一度も無かった。


知ちゃんから聞く中川加奈子という子は


「やっと決まったジャージを、次の日になったら「やっぱり違うのがいい」って言い出すから決められなくて困ってる。」


とか…


「自分の事を棚に上げて、ひどい事ばかり言う。」


とか…



『それってどうなんだろう?』

って思うようなエピソードばかりだった。


こういうグチを時々知ちゃんから聞いていたけれど、その話の中ですごく心に残る一言があった。


「すごい勝手で困る時も沢山あるんだけど、なんか嫌いにはなれないんだよね。」

という言葉だ。


『きっと不思議な魅力のある人なんだなぁ。』

そう、思ったっけ。


この“女子高”っていう“大奥”みたいな所でそんな事ばかりしていたら、普通だったら多分…とっくに嫌われているだろう。


けれど、そうならないという事は、それでも嫌われないような魅力がある人なんだろうなって思う。


そして、そういう魅力を“怖い”と思った。


絶対に敵わないような気がしたからだ。


人は誰にでも良いところがあって、私にもほんの少し位はあると思いたいのだけど、ずっとフラれ続けている立場なだけに加奈子の存在が脅威だった。


「まぁ、さくちゃんはさくちゃんらしく頑張りなよ!」

と、知ちゃんは励ましてくれた。


きっと、知ちゃんも辛かったんだろうなって思う。


友達二人の板ばさみになっていたのだから。


どっちに加勢するわけでもなく、ずっと中立でいてくれた事を私は今でも感謝してる。


そして…


前途多難なスタートを切った3年生でのライバルは加奈子だけではなく…


割と身近にもいる事に気付いたんだ。
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