海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
【第6章】

光を求めて

死のうとしたあの日。


生き直すことを決意できたあの時から、私は気持ちも生活も一変した。


食事も睡眠もきちんと取れるようになり、生気を取り戻した事は、何も言わなくても私の全てに現れていたのだと思う。



ある日、会社で二人きりだった松井さんに、


「本当は、もしかしたら河原が死んじゃうんじゃないかって思ってた。良かった。」


と泣かれた時、すごく、すごく心配をかけて、本当に申し訳ない事をしたのだと感じた。


それは両親と瑞穂にも同様に感じた。



私はなんて馬鹿な事をしようとしていたんだろう。


しかも本気で。


どうしようもない、大馬鹿者だった。



今でも相葉先生の事を思い出さないかと言われれば、もちろん何度も思い出す。


少しだけ、切ない気持ちになったりもする。


でも…。


本当の苦しさを味わったせいなのか、


それとも、相葉先生の結婚式が過ぎたからなのか…。


何故かは分からないけれど、今は前のように辛い気持ちになったりはしなかった。


むしろ相葉先生の結婚の事を知る前よりも、気持ちは前向きになっている気がする。


自分の力ではどうする事も出来ないような大きな節目を迎えた事で、私の気持ちは徐々に落ち着きを取り戻したのだと感じていた。


相葉先生を忘れる為に、無理やり誰かを好きになろうとする事はやめて、その分、男女関係無く沢山の友達を作るようにした。


沢山の人と交流する事で、自分の狭い視野を広げたいと思ったからだ。
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