僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅰ

夕刻の訪問者


◆Side:彗



7階に着くと静かな音でドアが開き、エレベーターから降りる。


「あー重い……腕疲れた」


そうぼやく凪から荷物を取り上げた。


「……ありがと。でも半分は持つから大丈夫だよ」


気が利かない俺にきっと凪も今さらだなって思ってるんだろうけど、素直に荷物の半分を任せてくれる。


それが、凪の優しさ。


6年ぶりに会った凪は外見こそ変わったものの、中身は変わっていなかった。


小さい頃からやけに大人びていたけれど、赤茶に染められた長い髪はスパイラルをかけて、猫目の瞳を囲んだ黒は美人な凪には合ってる気がする。


「凪も背、伸びたね」


廊下を歩きながら言うと、凪は笑顔を見せた。

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