"あやまち"からはじめませんか?


そして私は家の中に入った。

真っ暗な部屋の電気をまずつけるところからはじまる。

部屋は当たり前に静まり返っていて、慣れたなんて強がったけれどいつまで経っても寂しさになれることはない。

宇佐美くんの家は家族で一緒にご飯とか食べているのかな。

「いいな」


夜はあんまり好きじゃない。

寂しさが増幅するから。


私は家にあったものをレンジでチンをして一人で食べた。


翌日。


「結衣さん、おはようございます」

「おはよう」


学校で上履きに履き替えている時、宇佐美くんが声をかけてきた。

「今日の放課後、時間ありますか?」

「ええ、あるわ。生徒会のことなら……」


すると宇佐美くんはくすっと笑った。


「そっちじゃなくて」

「え?」

「俺とデートしましょう」

「で、デート!?」


私は思わず大きな声を出してしまい、必死で口を抑えた。


「じゃあ放課後、校門の前で待ってます」


デートなんてしたことない……。

デートって何するの!?

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