"あやまち"からはじめませんか?



ずっと駅の前を通るたびに憧れていた。

学校帰りにこういうお店を友達と寄ったり出来たらいいなって。

でもけっきょく誘える友達もいなくて、けっきょく3年間前を通りすぎるだけだった。


「嬉しい……」

「お気に召しましたか?」


私が小さく頷くと、宇佐美くんは嬉しそうな顔をする。

それから私たちは中に入って大きなパフェを頼んだ。


「結衣さんだけ食べたらいいのに、どうして俺もパフェ頼むんですか?」

「あ、あの……一緒に食べるのが夢だったから」


笑われるかな。

子どもぽいって思われるかな。


しかし、宇佐美くんの反応は私が思うような反応ではなかった。


「ふっ、あなたらしくっていいですね」


愛おしそうに笑う、そんな彼を見るとなんだか心がうずうずする。

他の人にはこんな感情にならないのに、どうしてだろう。


「お待たせしました」


しばらく経つと、店員さんがチョコレートパフェと、イチゴパフェを持ってきてくれた。



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