アラサー地味子@シャトーホテル/フランスでワケアリ御曹司に見初められちゃいました
クロードさんが運転席の窓を開けて私に名刺サイズのカードをくれた。
「わたくしはジャン様のところへ戻ります。帰りはタクシーをお使い下さい。こちらが城館のレストランのメッセージカードです。住所が書いてありますから、運転手に見せてください。お支払いは先ほどのカードで」
「分かりました」
「奥様のアパルトマンはインターフォンを押せば中から鍵を開けてもらえます」
そう言い残してクロードさんのベンツは去っていった。
言われた通りに旧式のエレベーターに乗って五階まで上がってベルを鳴らすと、お母様が出てきて私を迎え入れてくれた。
「コンニチワ、ユリ。イラッシャイ」
電話もそうだったけど、どうして日本語?
「あ、えっと、こんにちは」
お母様の後についてリビングの奥へ行くと、ソファにお母様と同じくらいの年代の女性が座っていた。
私を見ると立ち上がって、日本式に頭を下げて挨拶して下さった。
「私はサラ・フェルミエです。初めまして」
物腰が柔らかで流暢な日本語に驚く。
「白沢百合ラファイエットです。初めまして」
お母様が早口のフランス語で何かを言い始めた。
意味はまるで分からないけど、サラさんのことを紹介してくれているらしい。
「私はフランス外務省で通訳として働いていました」と、サラさんがお母様の言葉なのか自分で言っているのか、どちらにしろ日本語で説明してくれた。「大統領の随行員として洞爺湖や伊勢志摩のサミットに参加したことがあります。日本の総理大臣にも会いました」
「そうだったんですか」
そんなすごい人なんだ。
と、お母様がスマホを取り出した。
え、持ってないんじゃなかったっけ。
そういえば、さっきかかってきた電話、スマホからだったのかも。
『フランス語の家庭教師をご紹介しましょう』
画面に表示された日本語訳を見て笑いそうになってしまった。
昨日同じことを言われた時は皮肉だと思ったけど、本当に紹介して下さったんだ。
「わたくしはジャン様のところへ戻ります。帰りはタクシーをお使い下さい。こちらが城館のレストランのメッセージカードです。住所が書いてありますから、運転手に見せてください。お支払いは先ほどのカードで」
「分かりました」
「奥様のアパルトマンはインターフォンを押せば中から鍵を開けてもらえます」
そう言い残してクロードさんのベンツは去っていった。
言われた通りに旧式のエレベーターに乗って五階まで上がってベルを鳴らすと、お母様が出てきて私を迎え入れてくれた。
「コンニチワ、ユリ。イラッシャイ」
電話もそうだったけど、どうして日本語?
「あ、えっと、こんにちは」
お母様の後についてリビングの奥へ行くと、ソファにお母様と同じくらいの年代の女性が座っていた。
私を見ると立ち上がって、日本式に頭を下げて挨拶して下さった。
「私はサラ・フェルミエです。初めまして」
物腰が柔らかで流暢な日本語に驚く。
「白沢百合ラファイエットです。初めまして」
お母様が早口のフランス語で何かを言い始めた。
意味はまるで分からないけど、サラさんのことを紹介してくれているらしい。
「私はフランス外務省で通訳として働いていました」と、サラさんがお母様の言葉なのか自分で言っているのか、どちらにしろ日本語で説明してくれた。「大統領の随行員として洞爺湖や伊勢志摩のサミットに参加したことがあります。日本の総理大臣にも会いました」
「そうだったんですか」
そんなすごい人なんだ。
と、お母様がスマホを取り出した。
え、持ってないんじゃなかったっけ。
そういえば、さっきかかってきた電話、スマホからだったのかも。
『フランス語の家庭教師をご紹介しましょう』
画面に表示された日本語訳を見て笑いそうになってしまった。
昨日同じことを言われた時は皮肉だと思ったけど、本当に紹介して下さったんだ。