遅刻しそうな時にぶつかるのは運命の人かと思っていました
6.再び出逢う
 今日も亜由美は一条にワガママを言われた。
 何度言っても一条はルールを守らない。だから、伝票を突き返したのだ。

「忙しいんだよ! そんなことやっている暇はないんだ!」
 一条はまるで地団駄を踏む子供のようだ。
 そんな感情的な一条にも亜由美は淡々と言葉を返す。

「以前もお伝えしたと思いますけど、皆さん暇だからじゃなくて、それがルールで、必要だからきちんとして下さるんです。不備があるものは受け取れません。受領書がないものも」

 またやっている、という課内の視線も十分に承知していた。

 それでも、ほとんどの人がキチンとしてくれることなのだ。
 一条だけが出来ないなんてことはないはずだ。

 相当に頭に来たのか、一条は亜由美に捨て台詞を残して去っていく。

「この件は営業部から正式に苦情としてそっちの上司にも申し立てるからな!」
「どうぞ」

 今日も一条の剣幕はいつもにも増して激しくて、彼が踵を返したあとはさすがに震えが止まらなかった。

「亜由美ちゃん……」
「私、キツすぎますか?」
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