こんなのアイ?
病院の克実の部屋で待つこと小一時間。
「お待たせ、愛実。問題ない、帰ろう」
「お疲れさま。新年早々かわいそうに具合悪くなった子がいたんだね」
話しながら病院を出ると小雨が降り始めていた。
「ここで待ってて。俺、車取ってくる」
病院の裏で克実を待ち、すぐに目の前に停車した車に乗る。と、同時に反対側から来た車が停車し、克実が運転席から会釈したあと車を出した。
「院長と奥さんか娘さんだ。助手席が女性ってだけでよく見えてないが」
「そう。お医者様って本当に大変なお仕事よね…克実が頑張ってきた経緯を知っていても開業医である程度規則的な生活を確保出来るようになることは私は歓迎だな」
「院長をはじめ皆、快く俺のクリニックからの紹介患者を受け入れると言ってくれてるしな。タイミングが良かったよ」
そして送ってもらい私の荷物…母が持たせてくれた餅などを運んでくれた克実が
「4日からあのバーやってるらしいけど行くか?俺、休みだから久しぶりにブレントと会うんだ。愛実がずっと会わないならそれはそれでいいけど…俺がずっとブレントと会うってことはいつか会うぞ。俺と一緒の時に一度会っておかないか?」
4日か…あの熱の日から2週間…もう少し時間が欲しいのが正直なところだけど、あの日ブレントは悠衣に電話をしてくれたくらい私が思うよりずっと大人なのかもしれない。克実はブレントと友人として付き合い続けるのだろう。
「克実、行く時から一緒にお願いできる?それなら行こうかな」
「もちろん、二人にはしないよ。次の日は朝から診察があるから長々と飲むつもりもないしな。とりあえず一度会っておけ。不意に会うと愛実が狼狽えるのが目に見えてる」
克実はそう言って笑い私の部屋をあとにした。