こんなのアイ?




「石が好きな感じもいいよね。あのふっくらした立体的な形が僕のこだわりだったんだよ、あれ」
「あれも返事をかわされた…買ってもらったんだろうな」
「あの男かな?」
「さあ?」

 土曜の夜遅く、一回りも年の違う女の話をしながら酒を飲む。悠衣は‘らしくない’と思いながらも、食事中の皆の邪魔にならないようそっと手を合わせた猫目の女を思い出す。年の差や出会ったばかりと考えると本気な訳はないが警戒心の強い猫を甘やかしたいとは感じていた。

 ブレントは自分のこだわりを気に入ったと言ってくれた女の顔を思い出していた。石に温度があると言った彼女とは感性が似ているような気がする。また会いたい。ただあの警戒心だ…どうやって誘うかな…10歳も年の離れた女のことを考えながらバーをあとにした。

 彼らはそれから時折愛実と紗綾にメッセージを送り、3日に一度ほどのそれは紗綾とは定期的なやり取りになっている。だが愛実からは一度挨拶が返ってきただけで途切れてしまった。

 当の愛実は元々友達ともメッセージのやり取りは少ないので何も気にすることなく

「11月だな…今日は仕事帰りに克実の誕生日プレゼントを探しに行こう」

 と変わらない日常を送っている。そして月末の結婚式には行けないが、大切な友人の結婚のお祝いも何がいいかなと考えていた。
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