こんなのアイ?




 そんなことを思い出しながらマンションへ帰ると部屋着に着替え冷凍庫から作り置きのカレーピラフを取り出しレンジへ入れる。加熱している間に目玉焼きを焼きながら、トマトとセロリを洗って適当に切る。カレーピラフに目玉焼きを乗せ、サラダとも言えないトマトたちの皿とキッチンの対面カウンターに置き手を合わせた。

「いただきます」

 この備え付けのカウンターテーブルはこの部屋のお気に入りのひとつだ。奥行きがあまりないが一人には十分で、ダイニングテーブルを置く必要がないので部屋を広く使える。さっと食事を終えセロリだけまだ残しチーズを冷蔵庫から出すと、それらをつまみにワインを飲む。そして好きなJason Mrazの曲を小さくかけてから、誕生日前後に会いたいと克実に連絡するためスマホをバッグから取り出すといくつかメッセージが入っている。

 ひとつは紗綾から、明日ブレントたちと食事をしようと。もうひとつはブレントから、紗綾も一緒に明日食事をしようと。そして悠衣からは、先ほど百貨店前の通りで私を見かけたが車から声を掛けられなかった。明日会えるか?と。

 これは3人が同じランチかディナーに誘ってくれているということだよね?セロリをポリポリと口に入れながら考える。ちょうど数時間前に‘Diamante Kai’の前で社長とデザイナーを思い出したところだ…二人には、明日は予定があり申し訳ありませんと同じメッセージを送る。紗綾にも予定があるからごめんと伝え、もちろん紗綾は楽しんで来てねと送った。

 特に予定はないが行く気にはならない。紗綾からはすぐ、誰か誘って行って来るね~と返信があった。ルンルンとスタンプも送られてくる。クスッ…紗綾は本当に可愛いな。
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