私が愛した人は…

暁side

遅い。

トイレに行くといって10分経つが、鈴が戻ってこない。

コンコン…

「兄貴。入るぞ」

「どうした、龍?」

「いや、エレベーターの前で財布が落ちていて。これ、鈴の財布じゃないか?」

龍が持っていた財布は、確かに鈴のだ。

俺が、クリスマスにあげたやつだ。

「んで、鈴は?」

「トイレに行って、戻ってこない」

「女子トイレ、今清掃中だったぞ?俺、15分前に行ったけどその時も清掃中だったし」

「なに?」

鈴の携帯に電話をかけてみたが、でなかった。

電源すら入ってない状態だ。

非通知から電話が掛かってきた。

とりあえず出た。

「四條組の組長さんですね」

この声は確か…

「大鳳 空雅か」

「流石ですね」

「鈴はどこにいる」

「そんな慌てなくても、今はまだ無事ですよ。ただ、無事の保証は20日の0時まで。それまでにこないと、あの時の続きをする」

あの時の続きってまさか…

大鳳 空雅は、それだけ言い電話を切った。

「龍、帰るぞ。緊急事態だ。多分鈴は、大鳳 空雅の所に行った」

俺は慎吾を呼び、龍は親父たちに電話をした。

「あの、社長!」
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