2.9次元?サラトガーナの王妃になる私の運命の糸は何色なのか

「…ティム…」
「起きたか、ミィ」
「今は…?」
「夜の10時頃だ」

また10時間ほど眠っていたミィの様子では、ここに慣れるには少し時間がかかるかもしれない。

多くの者は、ここへ来てから繰り返し眠気を感じても2、3時間の昼寝を繰り返すようにして慣れていく。そして起きている間にここの物を食べる中で馴染んでいくのだ。

ここサラトガーナの食べ物は元々地球から持ち込まれている。例えばミィが好きだと言ったグレープフルーツも同じ種から育ったものだが、空気と水、そして土壌が僅かに違うので少し違う感じに育つのだ。

「食事にしよう」
「…今からですか?」
「ああ。少しでも飲んで食べないといけない。ここに運んでもらおう」

部屋のドアを開けてセスに食事を頼んでからベッドを振り返ると、ミィがゆっくりとベッドから降りてワンピースのシワを手で伸ばしながらカーテンまでそっと進む。そして遠慮がちに光沢あるネイビーのカーテンを小さく開けると

「明るい…夕方みたい」

と呟いた。

「白夜と言うのだろう?サラトガーナの夜はこの程度の暗さだ」
「年中ですか?」
「そうだ。雨と同じように回りの世界から影響を受けているせいだが、朝や昼とは区別がつくくらいだろう?」
「そうですね…陽が落ちきる直前のような感じ」

ミィの後ろに立ち、少しくしゃっとした髪を指で整えてやると、ミィは少し首を竦めてくすぐったそうに私を見上げた。

「大丈夫、寝起きも綺麗だ」

分かりやすく赤くなるミィは、雨の降らない日にだけ迎えに行けるというタイミングをはかってやっとサラトガーナへ連れてくることが出来た私の最愛の番だ。
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