2.9次元?サラトガーナの王妃になる私の運命の糸は何色なのか
発覚
「ティム様、ミィ様、お待ちください」
会場から廊下に出て、次は屋敷の外へと向かう私達を後ろから呼ぶ声はこう続いた。
「ミィ様は…森下未唯さん…ではありませんか?森下未来の娘…」
えっ?
私とティムが足を止めるのは同時だった。そして彼は私をぎゅっと抱き寄せたあと、追い付いてきた声の主、アオさんの方を向く。
「アオ、ここを出るのか?」
「はい」
「すぐに出られるか?」
「はい」
「では、今すぐ荷物をまとめろ。話は屋敷で聞く」
「ありがとうございます、ティモテ様」
「屋敷で待っている」
ティムがそう言うと深く頭を下げたアオさんは私をチラッと見て微笑んでから足早に立ち去った。
「誰…?」
「ミィとミィの母のことをよく知るサラトガーナの者…だな」
「…母の名前を言った…」
「屋敷で私も一緒に話を聞く。心配ない」
私の腕を擦りながらチュッ…額に唇を落としたティムは
「先ほどの振る舞いから見て、ミィに危害を加える者ではないと思わないか?」
私の顔を覗き込んだ。
「…ずっと遠くにいるって…お父さん…」
脳裏を掠めた母の言葉が漏れたことで、急に頭がぐるぐるとし始める。
「そうかもしれないし、ただそれを知る者かもしれないが…どちらにせよ、私がミィを愛していることは永遠に変わらない」