2.9次元?サラトガーナの王妃になる私の運命の糸は何色なのか
再会のとき
ドンッ…勢いよくぶつかり、尻もちどころでなく倒れる…と覚悟したのとは反対の前方に体が引き寄せられ、すっぽりと包み込まれた。
「未唯っ」
という太一の声と足音が私の背後を通りすぎていくのを聞きながら、何だかホッとして眠くなりそうに思う。
「大丈夫か?…私が分かるか?…ミィ」
抱きしめる腕をそっと緩めた人が、片手はそのまま、もう片方の手で私の頬を包み込んで視線を合わせる。
ああ…あの俳優の既視感はこの人からだ…あんなに金髪でないけれど…
「…私は…私は…あなたを知っている…知っています」
頭の中がぐるぐると…頭の中だけでなく体内の水も血液も全てがぐるぐると回る初めての感覚にふらつきそうになりながらも、彼を見つめ彼にしがみつく。
「ティ…ム…ティム…ティム…会いたかった…」
「ミィ…さすがサラトガーナの血が半分といったところか…」
そう言って私の頬を撫で優しく口づけた。
「やっと迎えに来ることが出来た、ミィ。寂しい思いをさせて悪かった」
「寂しかったです…とても」
「もう離れることはない」
「…アオさんは?」
「それも、記憶のことも何もかも思い出してるのか?」
「はい…たぶん全てだと…」
「アオも後悔している。ミィは私とサラトガーナで生きる…それでいいのか?それとも…こうして行き来する生活を望むか?」
「ティム」
「うん?」
「私はサラトガーナでティムと生きていきたい…ずっと一緒に」
「私もだ」
チュッ…とリップ音を立ててキスをした彼は、バサッとマントで私を包み込み…私の意識は途絶えた。