2.9次元?サラトガーナの王妃になる私の運命の糸は何色なのか
いざ、王宮へ
1週間ほど経って、王宮へと馬で行くということは…
「この格好でのご対面になりますね…失礼にあたりませんか?」
王宮へ行く前日、私がシャツとパンツ、そしてブーツでロスビエに乗るのを見に来ていたティムとニルに聞いてみる。
「かまわない。上着は私と揃いで作ってある」
「知らなかった…楽しみです」
学ラン風に襟の詰まったジャケットを作ってくれたということだね。
「ミィ様、明日はロスビエですか?」
「はい」
「ロスビエを手なずけるとは…」
「ニルは最初から、ロスビエは初対面で意地悪するとか言ってましたけれど、話をよく聞いてくれる、とてもいい子ですよ?」
「ニルが意地悪をされたっていうことだろう」
そう言ったティムはぐいっと私の後ろに乗ると
「少し走ろうか?」
と私の耳元で囁く。
「じゃあ、ロスビエ、ちょっと駆け足ゆっくりはじめっ」
私がロスビエの首をトントンと、しっかりと叩くとニルが珍しく声を上げて笑う。
「ちょっとの駆け足…ゆっくり…ははっ…難しい指示だ」
「笑ってますけど、ロスビエはミィ様のご希望ぴったりに駆けますよ」
アルがニルに言うのを聞きながら、ティムとロスビエと門を出る。
「ロスビエ、通りまではこのままで、通りに入ったら歩こうね」
「屋敷の裏手まで、最初より駆けていいよ、ロスビエ」
私の手綱さばきなどは関係なく、ロスビエは言葉を聞いて乗せてくれる。
「すごいな、ミィ。これなら明日もすぐに着く」
「どのくらいですか?」
「ミィの感覚で説明すると…そうだな…車で5分のところを馬で15分という感じだろう」
「近いですね」
「赤の屋敷との中間にある」
「王宮のカラーもありますか?」
「建物はそう染まってはいないが、父のカラーはグリーンだ」
グリーンは暖色にも寒色にも属さない中間色で、刺激の少ないこの色は見る人に安心感を与え心身のバランスを整える効果がある。グリーンを好きな人は、マイペースな平和主義者。争いごとを好まずみんなの調停役としてグループを支えているタイプが多いと言われている。お会いする前に強く先入観を持つのはよくないけれど…国王と聞けば緊張はあるが少し楽しみだ。