Will you marry me? 〜エリート建築士は策士な旦那様でした〜
な! 声をあげそうになってしまうが、電話の相手は彼のご両親だろう。
「また連れて行くけど、とりあえず籍だけ先にいれるからその報告、ああ。わかってるよ。ありがとう」
にこやかな笑みで話す彼をみて、ご両親は反対していないことがなんとなくわかった。
「じゃあ、また」
そう最後の挨拶をしつつ、謙太郎さんは私の方へと歩いてくる。
「これで菜々の心配のひとつは消えた?」
スマホを耳から下ろすと、開いてる方の手で私の頬を撫でる。
「つッ」
いきなり触れられて、一気に頬に熱があつまるのがわかった。
「今の相手は母だよ。父は仕事だろうけどもちろん俺の結婚を喜んでいる。兄妹たちもね」
「それならいいのですが……」
猫でも撫でる様にずっと私の頬に触れている彼の指に意識が集中してしまい、まともに考えがまとまらない。
「大丈夫、俺が菜々の心配事はすべて無くすから」
本当に大切にしてくれているような錯覚を覚えそうな彼に、私は心の中はパニック寸前だ。