カンパニュラ
chapter⑪

平日のクリスマスも、その後も、仕事納めまで勤務は続く。

東京までは頑張れば通勤出来るほどの距離だけれど、クリスマスイブもクリスマスも、仕事が終わってから友人たちのパーティーなどには参加しなかった。

これまで毎年参加していたけれど、今年はネイルもしていないし、退勤後にマンションでパーティー用に着替えてから込み合う電車に乗るのはいやだったから。

でもひとりぼっちのクリスマスなんて生まれて初めてだ。

コンビニで買ってきた、ローストビーフのサラダとワイン、朱美さんが作り置きしたナポリタンの夕食を取りながら

「ケーキも買えば良かった…」

と後悔する。コンビニであまりにも‘ぼっちクリスマス’と思われるのが嫌で、ケーキを買うのはやめた。だいたいコンビニのケーキを食べたことがない。

はぁ…昨日のイブもつまらなかったし、今日はますますつまらない。イライラしてもパーティー中の友人に連絡することも出来ない。お洒落して出掛けることが減っていることでイライラ気味のこの頃なのに、追い討ちをかけられた気分だ。

鈴は何が楽しくてここで一人暮らしをしていたのだろうか?鈴のところへは朱美さんも来ておらず完全な一人暮らしだったから、齷齪と家事をしていたのだろうか?こんなことを思うのは、鈴の暮らしていた部屋だからか、それとも‘私は私’と割りきれていないのか…
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