カンパニュラ
chapter⑤

小野田鈴。小野田製薬社長令嬢で小野田綾の妹。

道端さんの連絡を待たずに判明したことだが、俺は更に詳細を調査するように依頼した。身辺調査をすべき親子だと思わずにはいられない母親と姉。姉を思い出すと彼女の顔よりも赤いちりめんが揺れる様子が思い出される。

俺の家族には鈴に正式に見合いを申し入れることをその日のうちに了承してもらっている。だからすぐにでも申し入れは出来たのだが

‘少々ややこしい家庭環境かもしれないよ?’

という報告が道端さんからあったため、時間がかかっても詳細を調べるようにお願いした。ややこしいというのは、何故か鈴だけが祖父母に預けられていたような経緯が見られるという。

ややこしいからと見合いをやめるつもりはない。あの目がなくなるような可愛らしい笑顔をまた俺に向けて欲しい。だから家が関係する見合いは、実家を離れていた理由まで分かってから申し入れようと思ったのだが

‘鈴が本社に転勤。姉は工場へ転勤’

と連絡が入る。何が起こった?いくつかのことを掴んでいる様子の道端さんだが

‘転勤のことまで分かってから最終報告にする。もう少し待って’

と言われたので、その報告を待つことにした。
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