エリート警視正の溺愛包囲網〜クールな彼の甘やかな激情〜【2024/3/31にお取り下げ】
プロローグ
猛暑の名残がすっかり消え去り、風がひんやりと冷たくなった十月の夜。
「怖いか?」
深澤咲良は、自身を組み敷く男性の瞳をじっと見つめた。
怖いか、という問いかけに対する答えに悩んだのは、わずかな時間。
正直に言えば、まったく怖くないとは思えない。
咲良にとって、これから先のことは未知の世界。漫画やネットから得た知識はあっても、それはあくまで目で見ただけのこと。
改めて自分が当事者になり、そこに足を踏み入れることになると考えると、小さな恐怖心や不安はあった。
けれど、目の前にいる彼――堂本桜輔のことを怖いとは思わない。
彼はいつだって、咲良を思いやってくれている。優しく気遣い、宝物を扱うように大切に接してくれる。
それを知っているからこそ、これから自分の身に触れるのが桜輔であるということは咲良にとって〝怖いこと〟ではなかった。
そう思い至り、首をゆるゆると横に振る。すると、彼の双眸が柔和な弧を描いた。
桜輔の瞳はいつも優しい。
見た目は武骨そうで、内面は生真面目で。無愛想で取っ付きにくそうな雰囲気を纏っているのに、咲良に向けられる視線は穏やかなものばかりだ。
「咲良が怖がることはしない」
「うん」
「精一杯優しくするから、咲良はなにも考えなくていい。リラックスして、全部俺に委ねて」
咲良が困り顔になり、微笑を零す。
「難しいです……」
「それもそうか」
「だって……桜輔さんと一緒にいるだけでもまだドキドキするのに、今は桜輔さんのベッドで……ドキドキしすぎてリラックスなんてできないよ……」
眉を下げたままの咲良に、今度は彼も困ったように眉をひそめる。
「怖いか?」
深澤咲良は、自身を組み敷く男性の瞳をじっと見つめた。
怖いか、という問いかけに対する答えに悩んだのは、わずかな時間。
正直に言えば、まったく怖くないとは思えない。
咲良にとって、これから先のことは未知の世界。漫画やネットから得た知識はあっても、それはあくまで目で見ただけのこと。
改めて自分が当事者になり、そこに足を踏み入れることになると考えると、小さな恐怖心や不安はあった。
けれど、目の前にいる彼――堂本桜輔のことを怖いとは思わない。
彼はいつだって、咲良を思いやってくれている。優しく気遣い、宝物を扱うように大切に接してくれる。
それを知っているからこそ、これから自分の身に触れるのが桜輔であるということは咲良にとって〝怖いこと〟ではなかった。
そう思い至り、首をゆるゆると横に振る。すると、彼の双眸が柔和な弧を描いた。
桜輔の瞳はいつも優しい。
見た目は武骨そうで、内面は生真面目で。無愛想で取っ付きにくそうな雰囲気を纏っているのに、咲良に向けられる視線は穏やかなものばかりだ。
「咲良が怖がることはしない」
「うん」
「精一杯優しくするから、咲良はなにも考えなくていい。リラックスして、全部俺に委ねて」
咲良が困り顔になり、微笑を零す。
「難しいです……」
「それもそうか」
「だって……桜輔さんと一緒にいるだけでもまだドキドキするのに、今は桜輔さんのベッドで……ドキドキしすぎてリラックスなんてできないよ……」
眉を下げたままの咲良に、今度は彼も困ったように眉をひそめる。