俺が必ずこの女を殺す
柱の後ろを覗き込みどうにか手錠を外せないか弄ってみる。……しかしダメだった。

柱を壊せばいいかもしれない……とも思うが鉄で造られているこの柱を壊すのは無理だ。総長の考えは甘くないようだ。

ーーピッピッピッピッ……

代わりに爆弾の方を何とか……と思い近づいてみるがこっちもダメだ。色んな線が入り組んでて、どれかを切ったらなんとか阻止出来そうだが下手したら即爆発だ。

「ゆずきー…。これ外してー……」

後ろ手でカチャカチャと動かす澪奈は涙すら拭えずもがいていた。

……どうしたら…いいんだよ。

絶望に駆られる。

ツー、と輪郭を縁どるようにおでこの辺りから血が伝ってポタリ、と地面に落ちた。

……こんなはずじゃなかったのに。

俺は……、お前を…守りたかったのに……

涙で歪み始めた視線の先を撫でるように澪奈に向ける。また近づいて、倒れ込むように抱きしめた。

「ごめんな、澪奈。俺……お前のこと…っ、守れそうにない……」

俺が死ぬだけなら、別に良かった。でもお前が死ぬんだ、って思うと……、苦しいんだ…。胸がギュー、って締め付けられて、苦しくて苦しくて仕方ない。
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