月夜に1人の私を見つけて
電車に揺られながら、ドキドキと心拍数がゆっくり上がるのを感じた。
今日、大和には何を伝えられるのだろう。
そして、自分はそれをどう受け止めるのだろう。
大和に惹かれていることは、さすがにもう、自覚している。
もし彼に好意を伝えられた時の答えも、もう雪奈の中で決まっていた。
電車を降り、地下街に入ると、うさちゃんグッズが売ってある店へ向かった。
──何買おうかな。お店の前に並べてあったペアのぬいぐるみ、可愛かったし、買っちゃおうかな。
軽快なヒール音と共に、店がある手前の角を曲がった。
途端に
雪奈は立ち止まり、ヒール音も一緒に止まった。
雪奈の目線の先。
うさちゃんグッズが置いてある店先に、大和がいた。
その隣には…可愛らしい女性。
2人で、うさちゃんのペアのぬいぐるみを手に取って微笑み合っている。
大和が彼女を見下ろした時に、ちょうど表情が見えた。
柔らかい笑顔。
そして、彼女の頭をくしゃくしゃっとしてから、いたずらっぽく笑っている。
彼女はプンプンしながらも、笑いながらサラサラのストレートヘアを整え、大和の腕を軽く叩いている。