花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
『なんだ、こんな条件で簡単に別れられる程度だったのか』
自分の医師失格な発言を棚に上げて、皮肉っぽく言った。
『いや、手術を受けるつもりはない』
『は?』
『生憎、良くなるかどうかもわからないような手術に縋りつくほど、人生に執着している人間ではないんだ』
『放っておいたら確実に見えなくなるんだぞ?』
『それで構わない』
あいつは落ち着いた様子で頷いた。
『ただ、それに木花を付き合わせるわけにはいかないからな。彼女とは別れる』
あいつは俺の顔を見た。
『木花は物ではないんだ。君に譲るとか譲らないとか、そういう話ではないだろう。どうするかは彼女の意思次第だ』
『……んなこと、言われなくてもわかってるよ』
『だが、君は社会的地位がしっかりしていて、経済力があるきちんとした人物だ』
『なんだそれ、嫌味かよ』
『それに木花のことをよく知っていて、彼女のことを想っている』
俺はムスッとして黙ってた。
『木花を幸せにできる人間だと思う。彼女が君を選ぶというなら、私にそれを止める権利は無い。その時は木花がこれ以上苦しまないように、幸せにしてやって欲しい。私のことはどれだけ悪者にしてもらっても構わない』
自分の医師失格な発言を棚に上げて、皮肉っぽく言った。
『いや、手術を受けるつもりはない』
『は?』
『生憎、良くなるかどうかもわからないような手術に縋りつくほど、人生に執着している人間ではないんだ』
『放っておいたら確実に見えなくなるんだぞ?』
『それで構わない』
あいつは落ち着いた様子で頷いた。
『ただ、それに木花を付き合わせるわけにはいかないからな。彼女とは別れる』
あいつは俺の顔を見た。
『木花は物ではないんだ。君に譲るとか譲らないとか、そういう話ではないだろう。どうするかは彼女の意思次第だ』
『……んなこと、言われなくてもわかってるよ』
『だが、君は社会的地位がしっかりしていて、経済力があるきちんとした人物だ』
『なんだそれ、嫌味かよ』
『それに木花のことをよく知っていて、彼女のことを想っている』
俺はムスッとして黙ってた。
『木花を幸せにできる人間だと思う。彼女が君を選ぶというなら、私にそれを止める権利は無い。その時は木花がこれ以上苦しまないように、幸せにしてやって欲しい。私のことはどれだけ悪者にしてもらっても構わない』