花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「十以上も年上の男と突然結婚なんておかしいだろ。金なら俺も一緒に返してやるから、もっと自分を大事にしろよ」
彼の言葉に深いため息をついてしまう。
「大事にした結果だから。颯くんだって九歳上だけど、いつもおばあちゃんに嫁がどうとかって冗談言ってたじゃない。私、今ちゃんと幸せだよ」
「嘘つくなよ」
どうしてこんなに信じてくれないの?
「ちょっと来い」
颯くんが急に私の左腕を引っ張った。
「え、ちょっと! どこに行くの!?」
「俺ん家」
彼はもう、車のドアに手をかけている。
力が強くて振りほどけない。
「なんで――」
「木花」
後ろから落ち着いた、だけど怒っているような声がした。
「櫂李さん!」
振り向いて彼の顔を見ると、不思議なくらい安心した。
「颯くん、痛いよ。離して」
颯くんは渋々という表情で腕を掴む力を緩めてくれた。
私が急いで櫂李さんの方へ駆け寄ると、彼は優しく抱き寄せてくれた。
「たしかに急な結婚だったかもしれないけど、私ちゃんと幸せだから。心配してくれるのはありがたいけど、もう私の家族は櫂李さんなの! 放っておいて」
櫂李さんにしがみつく私の言葉を聞いて、颯くんは櫂李さんを睨むようにして車に乗り込むと去っていった。
彼の言葉に深いため息をついてしまう。
「大事にした結果だから。颯くんだって九歳上だけど、いつもおばあちゃんに嫁がどうとかって冗談言ってたじゃない。私、今ちゃんと幸せだよ」
「嘘つくなよ」
どうしてこんなに信じてくれないの?
「ちょっと来い」
颯くんが急に私の左腕を引っ張った。
「え、ちょっと! どこに行くの!?」
「俺ん家」
彼はもう、車のドアに手をかけている。
力が強くて振りほどけない。
「なんで――」
「木花」
後ろから落ち着いた、だけど怒っているような声がした。
「櫂李さん!」
振り向いて彼の顔を見ると、不思議なくらい安心した。
「颯くん、痛いよ。離して」
颯くんは渋々という表情で腕を掴む力を緩めてくれた。
私が急いで櫂李さんの方へ駆け寄ると、彼は優しく抱き寄せてくれた。
「たしかに急な結婚だったかもしれないけど、私ちゃんと幸せだから。心配してくれるのはありがたいけど、もう私の家族は櫂李さんなの! 放っておいて」
櫂李さんにしがみつく私の言葉を聞いて、颯くんは櫂李さんを睨むようにして車に乗り込むと去っていった。