花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「大丈夫?」
櫂李さんが心配そうに私の顔を覗きこむ。
「うん、大丈夫。帰りましょ」
心臓は少しだけドキドキしてる。
「彼は菊月さんの息子さんかな?」
櫂李さんも颯くんを知ってるんだ。
「幼なじみなんです」
「ああ、やっぱり」
「え?」
「木花は昔もこの辺りに住んでいたんだよね」
「知ってるの?」
櫂李さんは静かに頷く。
「君の名前を聞いたとき、古川という家が昔この辺りにあったのを思い出した。ずっと以前に、君に会ったことがある」
彼の言葉に心臓がトクンと音を立てた。
「いつ?」
「さあ? いつだったかな」
櫂李さんは笑顔ではぐらかして話を終わらせてしまった。
だけど、昔会ったことがあるなんて嬉しい。
……全然覚えてないけど。
家までの道を歩く間、そっと彼の手をとった。
こんな風に当たり前に誰かと手をつなぐなんて何年振りだろう。
櫂李さんが微笑んで見下ろす。
つないだ手より、心がポカポカする。
櫂李さんが心配そうに私の顔を覗きこむ。
「うん、大丈夫。帰りましょ」
心臓は少しだけドキドキしてる。
「彼は菊月さんの息子さんかな?」
櫂李さんも颯くんを知ってるんだ。
「幼なじみなんです」
「ああ、やっぱり」
「え?」
「木花は昔もこの辺りに住んでいたんだよね」
「知ってるの?」
櫂李さんは静かに頷く。
「君の名前を聞いたとき、古川という家が昔この辺りにあったのを思い出した。ずっと以前に、君に会ったことがある」
彼の言葉に心臓がトクンと音を立てた。
「いつ?」
「さあ? いつだったかな」
櫂李さんは笑顔ではぐらかして話を終わらせてしまった。
だけど、昔会ったことがあるなんて嬉しい。
……全然覚えてないけど。
家までの道を歩く間、そっと彼の手をとった。
こんな風に当たり前に誰かと手をつなぐなんて何年振りだろう。
櫂李さんが微笑んで見下ろす。
つないだ手より、心がポカポカする。