花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「会ってみたかったな、木花のおばあさん」
「おばあちゃんも会いたかったと思います。桜の花も桜の絵も、すごく喜んでたし……好きな人ができたって言ったら、すぐに桜の人だってわかったから」
隣に立つ彼の方を見ると、少し意外そうな顔をしていた。
「私、櫂李さんに結婚しようって言われたから好きになったわけじゃないですよ」
彼の手を取る。
「私だってちゃんと一目惚れしてたし、今の方がもっと好きです」
櫂李さんは嬉しそうに笑ってくれた。
私はあなたが大好きですって何度だって言いたい。
それから二人で海を見に行った。
海は日差しが強いから、車から下りても櫂李さんはサングラスをかけている。
「人が多いですね」
海開きは過ぎていたので、浜辺は海水浴客で少し混み合っていた。
はしゃぐ人たちの声の隙間から「ザザ……」という波の音や、トンビの声が聞こえる。
「海、久しぶりに来ました。櫂李さんは海は好きですか?」
「もう少し静かな方が好みだけど、好きだよ。ときどき絵に描くこともある」
砂浜の端の方に並んで立つと、櫂李さんが遠くを見るように海を見つめた。
「私の両親は海外の航空機事故で……行方不明なんだ」
「え、行方不明……?」
「ああ。でも生存は絶望的な状況だったから、亡くなっているのは間違いない」
悲惨な事故の話に、心臓がドキドキと嫌な音を立て始める。
「飛行機が海に墜落したらしい、と連絡があって、捜索活動が行われたけど機体の破片しか見つからないような事故だった」
思わず櫂李さんのジャケットの裾をギュッとつかむ。
彼が私の頭をポンと撫でる。
「おばあちゃんも会いたかったと思います。桜の花も桜の絵も、すごく喜んでたし……好きな人ができたって言ったら、すぐに桜の人だってわかったから」
隣に立つ彼の方を見ると、少し意外そうな顔をしていた。
「私、櫂李さんに結婚しようって言われたから好きになったわけじゃないですよ」
彼の手を取る。
「私だってちゃんと一目惚れしてたし、今の方がもっと好きです」
櫂李さんは嬉しそうに笑ってくれた。
私はあなたが大好きですって何度だって言いたい。
それから二人で海を見に行った。
海は日差しが強いから、車から下りても櫂李さんはサングラスをかけている。
「人が多いですね」
海開きは過ぎていたので、浜辺は海水浴客で少し混み合っていた。
はしゃぐ人たちの声の隙間から「ザザ……」という波の音や、トンビの声が聞こえる。
「海、久しぶりに来ました。櫂李さんは海は好きですか?」
「もう少し静かな方が好みだけど、好きだよ。ときどき絵に描くこともある」
砂浜の端の方に並んで立つと、櫂李さんが遠くを見るように海を見つめた。
「私の両親は海外の航空機事故で……行方不明なんだ」
「え、行方不明……?」
「ああ。でも生存は絶望的な状況だったから、亡くなっているのは間違いない」
悲惨な事故の話に、心臓がドキドキと嫌な音を立て始める。
「飛行機が海に墜落したらしい、と連絡があって、捜索活動が行われたけど機体の破片しか見つからないような事故だった」
思わず櫂李さんのジャケットの裾をギュッとつかむ。
彼が私の頭をポンと撫でる。