花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
「今夜はこの間の花火大会とは比べ物にならないくらいちゃんとしたいの」
私は浅縹色というニュアンスのあるブルーに撫子柄の着物姿で、ものすごく緊張している。
今日は櫂李さんの知り合いの画家の受賞パーティーに招待されている。
彼の妻として公の場に出る初めての機会。
「髪、本当にまとめなくて良かったのかな」
櫂李さんに言われて髪をハーフアップのように一部だけ結んで下ろしている。
「木花の美しい髪を見せたいからね」
「でも……子どもっぽくないですか?」
「子どもっぽいというよりは年相応の若さだと思うし、木花は同年代の中では大人っぽいんじゃないか?」
「その年相応が櫂李さんの隣だと子どもっぽく見えるんです」
私は子どもっぽい不満を口にしてしまう。
「心配しなくても木花はどんどん大人っぽくなっているよ」
彼はそう言ってくれるけど、並んで歩くと自分の子どもっぽさが嫌になる。
見た目の問題じゃなくて振る舞いや所作の問題なのかもしれない。
早くもっと櫂李さんに相応しい女性になりたい。
***
パーティーはビジネスエリアにあるグランドホテルの広間で開かれている。
赤い絨毯にゴージャスなシャンデリアがきらびやかに輝く空間が、日常と違う世界だと教えてくれる。
立食形式の会場からは、あちらこちらから笑い声や挨拶を交わす声、グラスをぶつけ合う音が聞こえる。
私は浅縹色というニュアンスのあるブルーに撫子柄の着物姿で、ものすごく緊張している。
今日は櫂李さんの知り合いの画家の受賞パーティーに招待されている。
彼の妻として公の場に出る初めての機会。
「髪、本当にまとめなくて良かったのかな」
櫂李さんに言われて髪をハーフアップのように一部だけ結んで下ろしている。
「木花の美しい髪を見せたいからね」
「でも……子どもっぽくないですか?」
「子どもっぽいというよりは年相応の若さだと思うし、木花は同年代の中では大人っぽいんじゃないか?」
「その年相応が櫂李さんの隣だと子どもっぽく見えるんです」
私は子どもっぽい不満を口にしてしまう。
「心配しなくても木花はどんどん大人っぽくなっているよ」
彼はそう言ってくれるけど、並んで歩くと自分の子どもっぽさが嫌になる。
見た目の問題じゃなくて振る舞いや所作の問題なのかもしれない。
早くもっと櫂李さんに相応しい女性になりたい。
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パーティーはビジネスエリアにあるグランドホテルの広間で開かれている。
赤い絨毯にゴージャスなシャンデリアがきらびやかに輝く空間が、日常と違う世界だと教えてくれる。
立食形式の会場からは、あちらこちらから笑い声や挨拶を交わす声、グラスをぶつけ合う音が聞こえる。