花とリフレイン —春愁切愛婚礼譚—
颯くんはやっぱり〝お兄ちゃん〟なんだ。
そんなことを考えながらパーティー会場に戻ると、櫂李さんがまた如月さんと話している後ろ姿が目に入る。
「まさかお前が結婚するとはなー」
「自分でも驚いている」
笑う櫂李さんの言葉に、なんとなく話しかけるタイミングを逃してしまった。
「トウコは内心ショック受けてるんじゃないか? まあトウコだけじゃないだろうけどな」
如月さんが聞くと、櫂李さんはまたため息。
「君はもう少し話題を選ぶということをした方がいい。彼女とは別にそういう関係ではない」
〝トウコ〟櫂李さんと関係のある女性を思わせるその名前と会話に胸がギュッと軋む。
だけど私は聞かなかったことにして、櫂李さんの元に戻った。
彼は私より十一歳も年上なんだから、過去に恋愛の一つや二つしていない方がおかしい。
「木花、何か食べるか? 取ってきてあげるよ」
「ううん、もうお腹いっぱいです」
優しい言葉に首を横に振る。
こんな些細なことに動揺している自分が恥ずかしい。
「櫂李」
彼を呼ぶ女性の声がして、振り返る。
そこに立っていたのは、パウダールームで会った藤色の着物の女性だった。
そんなことを考えながらパーティー会場に戻ると、櫂李さんがまた如月さんと話している後ろ姿が目に入る。
「まさかお前が結婚するとはなー」
「自分でも驚いている」
笑う櫂李さんの言葉に、なんとなく話しかけるタイミングを逃してしまった。
「トウコは内心ショック受けてるんじゃないか? まあトウコだけじゃないだろうけどな」
如月さんが聞くと、櫂李さんはまたため息。
「君はもう少し話題を選ぶということをした方がいい。彼女とは別にそういう関係ではない」
〝トウコ〟櫂李さんと関係のある女性を思わせるその名前と会話に胸がギュッと軋む。
だけど私は聞かなかったことにして、櫂李さんの元に戻った。
彼は私より十一歳も年上なんだから、過去に恋愛の一つや二つしていない方がおかしい。
「木花、何か食べるか? 取ってきてあげるよ」
「ううん、もうお腹いっぱいです」
優しい言葉に首を横に振る。
こんな些細なことに動揺している自分が恥ずかしい。
「櫂李」
彼を呼ぶ女性の声がして、振り返る。
そこに立っていたのは、パウダールームで会った藤色の着物の女性だった。