恋愛日和 〜市長と恋するベリが丘〜
***

「結婚の話がもっと具体的になったら、私もお力になれそうなことはお手伝いしますので」
「ありがとうございます。それまでにもうちょっと修行しておきます」
九月のある日、市のイベントで会った高梨が胡桃に言った。
壱世はまた市長の挨拶でステージの上だ。

「正直、私もここのところの栗須さんの日課には遊びが足りないと思っていたので、江田さんのような方と結婚していただけると安心です」

壱世よりもよほど生真面目そうな高梨に心配されていることに胡桃は思わず笑ってしまった。
「今度私のオススメのおやつを壱世さんに持って行ってもらいますね。二人で息抜きしてください」
ニコッと笑った。

(それだけ忙しくて大変てことだよね。密着取材のときもスケジュールぎっしりって感じだったし。鹿ノ川さんとはその後どうなんだろう)

梅島編集長がときどき教えてくれる市議会関連のニュースによれば、最近は市長派と改革反対派で議会が紛糾することもあるらしい。

(べつに大人同士がプライベートでケンカしてるわけじゃないし、議会とはそういうものだと言ってしまえばそれまでなんだけど……)

鹿ノ川のことを思い出すとどうしても心配になってしまう。

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