私の敵が味方に
同棲
今日は退院日だ

荷物は前日に友達がバッグに詰めてくれた

今日は用事があり来れないらしい

カナトさんの家に居候していたので、しばらくは漫画喫茶にとまりながらアパートを探すそう…

携帯を触って、看護師さんがいらっしゃるのを待つ

ガラッ

病室のドアが開く音がして、携帯から目を離しドアを見ると

えっ


カナトさんが私服で立っている

「帰る準備はしてあるな」

「…どうして?」

「お金の支払いはしておいたから、帰るぞ」

「えっ…看護師さんがまだ…」

「こない」

私に近づいてくると、リストバンドをはずし机の上においた

「どうしてきたの?」

「その手で荷物持てないだろ」

「だって、好き勝手にしろって言ってたから。怒ってると思って…」

「今も怒っているけど、それとこれとは別だろ。早く帰るぞ」

「うん、ありがとう……」

鼻で笑われた

「お金は後で返す」

「いらない」

「ちゃんと返す」

「仕事終わってからバイトしてお金を稼ぐつもりだろ、そっちの方がまた怪我をして余計にお金がかかる」

どうして私の考えていたことがわかるの?!

「…いくらだった?」

「忘れた。早く帰るぞ」

「うん…」

カナトさんが荷物を持ってくれ、車まで移動し、助手席に座った

「その手で仕事できるのか?」

「できることを探そうと思う、お金は時間がかかると思うけどちゃんと返す」

「はいはい。頑固だよな」

「いいでしょ」

「リハビリは、俺が仕事に行くついで一緒に行くか」

「ありがと……」

鼻で笑われた


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