スパダリ救急救命士は、ストーカー被害にあった雑誌記者を溺愛して離さない~必ず君を助けるから。一生守るから俺の隣にいろ~
「……下の階で火事じゃなかったから、重傷者は少ないな」
よかったとつぶやきながら周りの怪我人を確認している蓮の顔は、消防士の顔だった。
初めて書いた記事の写真はやっぱり蓮だったと、蓮の真剣な横顔を見ながら瑠花は納得する。
「すみません。まもなく救急車が来るので、ここを開けてください!」
救急車の音が聞こえ、少しテントの前が慌ただしくなる。
だが、現場に到着したのは救急車ではなく選挙カーだった。
「みんな大丈夫かね?」
大変だったねと声をかけて回っているのはテレビで何度か見た大久間だ。
こんな場所に似合わない名前が書かれた紫色ののぼり旗を持った人をお供に連れて、「本人です」という襷までして。
「救急車がまもなく到着するので、車を退けてください」
「まぁまぁ、少しくらいいいだろ」
救急隊員を押しのけ、大久間は怪我人の方へ進んでいく。
腰が悪そうなお婆さんの前にしゃがみ込むと、大久間はペットボトルの水を差し出した。
「煙で喉は痛くないかね? 水でもどうです?」
「あぁ、ありがとねぇ」
嬉しそうにお婆さんが受け取ると、紫色のTシャツを着たスタッフがペットボトルの入った段ボールを車から下ろし、配り始める。
「さすが大久間さんだ」
「ありがたい」
「いち早く困っている人のところへ駆けつける大久間候補をよろしくお願いします」
若いスタッフが水を配りながら大久間を宣伝していく。
「おいおい、それは言っちゃダメだよ、きみ」
そんなつもりで来たわけじゃないんだからと豪快に笑っているけれど、選挙違反だよね?
「今のって」
「あぁ、選挙違反だ。スマホで録音できていれば証拠になったのに」
くそっと悔しそうに眉間にしわを寄せる蓮の言葉で、瑠花はハッとした。
お尻のポケットのボイスレコーダーは動いたまま……?
瑠花は慌てて左手でポケットからペン型のボイスレコーダーを取り出す。
ペンの上が光っているということは録音中!
「蓮さん……これ、正臣さんに渡したら証拠になる……?」
「これは?」
「ボイスレコーダー。たぶん、壊れていないと思うけれど」
私の大きなお尻で踏んづけたけれどね。
上半身裸のまますごいなと目を細める蓮の笑顔は反則すぎる。
こんな時に不謹慎だけれど瑠花は目のやり場に困ってしまった。
よかったとつぶやきながら周りの怪我人を確認している蓮の顔は、消防士の顔だった。
初めて書いた記事の写真はやっぱり蓮だったと、蓮の真剣な横顔を見ながら瑠花は納得する。
「すみません。まもなく救急車が来るので、ここを開けてください!」
救急車の音が聞こえ、少しテントの前が慌ただしくなる。
だが、現場に到着したのは救急車ではなく選挙カーだった。
「みんな大丈夫かね?」
大変だったねと声をかけて回っているのはテレビで何度か見た大久間だ。
こんな場所に似合わない名前が書かれた紫色ののぼり旗を持った人をお供に連れて、「本人です」という襷までして。
「救急車がまもなく到着するので、車を退けてください」
「まぁまぁ、少しくらいいいだろ」
救急隊員を押しのけ、大久間は怪我人の方へ進んでいく。
腰が悪そうなお婆さんの前にしゃがみ込むと、大久間はペットボトルの水を差し出した。
「煙で喉は痛くないかね? 水でもどうです?」
「あぁ、ありがとねぇ」
嬉しそうにお婆さんが受け取ると、紫色のTシャツを着たスタッフがペットボトルの入った段ボールを車から下ろし、配り始める。
「さすが大久間さんだ」
「ありがたい」
「いち早く困っている人のところへ駆けつける大久間候補をよろしくお願いします」
若いスタッフが水を配りながら大久間を宣伝していく。
「おいおい、それは言っちゃダメだよ、きみ」
そんなつもりで来たわけじゃないんだからと豪快に笑っているけれど、選挙違反だよね?
「今のって」
「あぁ、選挙違反だ。スマホで録音できていれば証拠になったのに」
くそっと悔しそうに眉間にしわを寄せる蓮の言葉で、瑠花はハッとした。
お尻のポケットのボイスレコーダーは動いたまま……?
瑠花は慌てて左手でポケットからペン型のボイスレコーダーを取り出す。
ペンの上が光っているということは録音中!
「蓮さん……これ、正臣さんに渡したら証拠になる……?」
「これは?」
「ボイスレコーダー。たぶん、壊れていないと思うけれど」
私の大きなお尻で踏んづけたけれどね。
上半身裸のまますごいなと目を細める蓮の笑顔は反則すぎる。
こんな時に不謹慎だけれど瑠花は目のやり場に困ってしまった。