次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「いやいや、だが、桜志くんは大学でもトップの成績で卒業したと聞いているし入社後も実績を次々に上げていたじゃないか」
「それは大学では首席の聖菜ちゃんに意識してもらいたかったし、会社に入ってからは話しかける機会が欲しくて。そんな勉強とか別に好きじゃなかったから一年の時、成績真ん中くらいだったし、社長になりたいからとか全然思ってなかったし、社長ならもし結婚しても苦労させたくないからで。聖菜ちゃんと結婚できないなら社長なんて弟に任せてる。だから、準備ができたからプロポーズだってしようと思ったし恋人になった時に家を建てる計画もしてやっと新居も用意してたんだ」
「……新居。というか、恋人になった時に新居の計画って気が早すぎじゃないかな。いやでも」
次はこの人がブツブツと悪口っぽいことを独り言を呟いている。用事終わったんだから早く出ていってくれないか。虚しくなってくる。
「申し訳ないが、その話はなかったことにしてくれないかな」
「こちらも申し訳ないが、彼女が来ているんだ。ひとまず、呼んでもいいかな?」
いいかな、ってそれ拒否権ないだろう?俺が拒否したらどうするつもりだったんだろうか強行突破しようと思ってたのか?
「はぁ……どうぞ」
そう言えばキラキラした目をして部屋を出て行った。本部長が出て行ってすぐ理人が盛大なため息を吐く。
「……お前、どうするんだ。あれ、めちゃくちゃいい笑顔で出てったぞ。きっと会わせればいけるかもって思ってると思うが」
「俺もそう思うが、あれは仕方ない。俺は聖菜以外可愛い子はいないと思う」
そんな話をしていると、本部長と共にザお嬢様がやってきた。
上品な雰囲気を纏い香水がきつい。長い髪をクルクルにしてフリフリのブラウスに膝より少し短いフレアスカートを着ており靴は結構高さのある赤のヒールを履いている……まるで自分は美人だと選ばれる人だと言っているような見た目だ。