次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「ちゃんと言ってほしかった、嫌なら嫌だって。好きだと言ったけど撤回するって、もう会いには来ないって……もう、会いたくないってハッキリ言ってほしいっあっ」
私は、職場の休憩室なのに私的なことをぶちまけてしまっていたらしい……何かあると周りが見えなくなる、今その状態だ。まじでなんなんだろう、この状況は。
「ご、ご、ごめん。安藤くん、き、聞いてた!?」
「うん。ちょこっとだけ」
「わ、忘れて! あーもう、恥ずかしい」
「はい、忘れます。俺は二人の逢瀬を邪魔しにきたわけじゃないんだよ、店長にお客様が来たよ。タクシーで来たらしいけどすっごくお嬢様ぽい感じの人で、店長に会いたいってさ」
私に?というかお嬢様っぽい人?誰だろう……
「わかった。今行くよ、ありがとう」
「いいえ、じゃあその通り言っておきます」
安藤くんはそれだけ言って戻っていった。私も立ち上がると、碧巴さんに声を掛ける。
「聞いてくださってありがとうございました。では!」
「ううん、何かあればお互いさまだよ。変な人なら連絡してな」
「わかってる、ありがとう。じゃあ、いってきます」
私は休憩室を出てフロアに出ると安藤くんに何番テーブルかを教えてもらってそのテーブルに向かった。