次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
そうして一時間後、菜美姉は帰ってきた。
「え、聖菜!? なんでここに?」
「ご無沙汰しております、突然ごめんなさい。菜美姉に相談があって来ました」
私が菜美姉にそう言うと、ハルくんたちは静かに出ていってしまった。菜美姉を見つめる。
「本当に久しぶりね。私に相談なんて、珍しい。でも嬉しいわ、頼ってくれただけで……でも、なんの相談?」
「私、仕事を辞めようと思います。それであの家から離れ遠くの街に行って住みたいと思います」
「え? でも、奨学金、返済しなくていいように働いていたんじゃ?」
「もう今年で条件の年になりましたので辞められます。ようやく決心できました。私は、父とあの場所を離れ病院に連れて行こうって思ってます。ですが、病院のことはあまりよくわからなくて一緒に探していただけませんでしょうか?」
私は菜美姉に頭を下げると彼女に名前を呼ばれ頭を上げる。すると、菜美姉はそっと抱きしめてくれた。
「頼ってくれてありがとう、聖菜ちゃん。病院のことは探してみるよ。だけど、聖菜ちゃんはお仕事どうするの?」
「仕事は病院が決まったら探そうと思ってます。蓄えはありますし」
「そうなのね、じゃあまずは病院を探そうか。そうだわ、雫ちゃんが詳しいかもしれないわね。あの子、看護師さんでね。この辺の病院ならわかるかも」
そう言って菜美姉が言って彼女を呼びに行った。すると二人で戻ってきて、彼女にざっくりと説明をしてくれた。