次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜
「聖菜さんは気づいちゃったかもしれないけど、言わないで」
「それはもちろん言わない。ありがとう、話をしてくれて」
「ううん、聖菜さんの話を聞いてなんか似たもの同士なんだなぁって思ったんだ。お互い好きな人に思いを伝えられない同士だから聖菜さんといてホッとするのかもしれないな」
ハハっと笑うと碧巴さんは立ち上がって、そのまま片足をついてしゃがんだ。
「俺は彼らの元に行ってくる。ちゃんと話をして帰ってもらうから安心してほしい」
「ありがとうございます。ご迷惑をかけます」
私がお辞儀をすれば「大丈夫だよ」と彼は呟いてから部屋から出ていった。
扉が閉まった音を聞いて氷は溶けちゃったがまだグラスに入っている水を一気に飲み干した。