叶わぬ彼との1年先の縁結び
ep.18 再会、そして門出 雅之side
久谷渉流には、天羽に先に取り次いでもらい電話をした。
「CLツーリストサービスの三雲と申します。AMOCCの天羽和成さんに取り次いで頂きました」
「はい、天羽さんから伺っております。私の連絡先をお教えすることにも承諾しております」
丁寧な穏やかな口調で答えが返ってきた。
「早速ですが……実は先月、そちらの婚約者様が、私の婚約者に会いに来たという話を耳にしまして」
こちらから話を切り出すと、電話口から久谷のハッとした溜め息が聞こえてきた。
「はい、その件は穂乃花から……いえ、私の婚約者から聞いております」
久谷の観念したような声に「名前で呼んでくださって構いませんよ」と伝えた。そして……
「久谷さん、お願いがある。この電話も、これから話すことも、貴方の婚約者には内密にして頂きたい。もちろん風間社長にもです。その理由は、貴方の婚約者……風間穂乃花さんから私の婚約者に連絡を取られたくないからです」
「えっ……はっ、はい」
今回の話の前提である約束事を頼むと、相手は素直に返事をした。
「つきましては、婚約者さんからは、その時のことをどのように聞いていますか?」
紗雪と会った時のことを穂乃花が久谷にどう説明したのかを尋ねた。
「あぁ、そうですね……ええと……」
ものすごく言いづらそうな反応が返ってきたので、
「私の婚約者が、私のことを風間穂乃花さんに返そうとしている……という話は聞いていますか?」
質問を変えて、再度尋ねると、
「はい……聞いております」
久谷は観念したような声を出した。
おそらく、彼の中では俺がそれを実行するつもりだと思っているのだろう。穂乃花との復縁希望の電話だと思っているはずだ。だが、それは違うのだ。
しかし、久谷の考えは想定していたよりも慎重かつ大胆なものだった。
「ですが、三雲さん。その話は本当なのですか? 私には穂乃花が都合良く受け取っているだけのような気がしてならないのです。本当のところはどうなのか、三雲さんに確認しに伺おうかと思っていました。しかし、あなたの誕生日にすべてが判明する。その後は家同士での話し合いになるでしょう。ですから、その時まで待っていれば良いかなと少々投げやりになっていました」
疲れ果てたような声で久谷はそう語った。
「私は、自分の婚約者を大事に思っています。愛しているのは彼女だけだ。彼女以外は考えられない」
「そうなんですね。では、やはり、あの話は穂乃花の勘違いだったわけですね」
俺がはっきりと伝えると、九谷は少しホッとしたような明るい声を出した。
そんなところを申し訳ないが、本件に関しては「穂乃花の勘違い」ではなく、「紗雪の勘違い」であることを伝えなければならない。
「CLツーリストサービスの三雲と申します。AMOCCの天羽和成さんに取り次いで頂きました」
「はい、天羽さんから伺っております。私の連絡先をお教えすることにも承諾しております」
丁寧な穏やかな口調で答えが返ってきた。
「早速ですが……実は先月、そちらの婚約者様が、私の婚約者に会いに来たという話を耳にしまして」
こちらから話を切り出すと、電話口から久谷のハッとした溜め息が聞こえてきた。
「はい、その件は穂乃花から……いえ、私の婚約者から聞いております」
久谷の観念したような声に「名前で呼んでくださって構いませんよ」と伝えた。そして……
「久谷さん、お願いがある。この電話も、これから話すことも、貴方の婚約者には内密にして頂きたい。もちろん風間社長にもです。その理由は、貴方の婚約者……風間穂乃花さんから私の婚約者に連絡を取られたくないからです」
「えっ……はっ、はい」
今回の話の前提である約束事を頼むと、相手は素直に返事をした。
「つきましては、婚約者さんからは、その時のことをどのように聞いていますか?」
紗雪と会った時のことを穂乃花が久谷にどう説明したのかを尋ねた。
「あぁ、そうですね……ええと……」
ものすごく言いづらそうな反応が返ってきたので、
「私の婚約者が、私のことを風間穂乃花さんに返そうとしている……という話は聞いていますか?」
質問を変えて、再度尋ねると、
「はい……聞いております」
久谷は観念したような声を出した。
おそらく、彼の中では俺がそれを実行するつもりだと思っているのだろう。穂乃花との復縁希望の電話だと思っているはずだ。だが、それは違うのだ。
しかし、久谷の考えは想定していたよりも慎重かつ大胆なものだった。
「ですが、三雲さん。その話は本当なのですか? 私には穂乃花が都合良く受け取っているだけのような気がしてならないのです。本当のところはどうなのか、三雲さんに確認しに伺おうかと思っていました。しかし、あなたの誕生日にすべてが判明する。その後は家同士での話し合いになるでしょう。ですから、その時まで待っていれば良いかなと少々投げやりになっていました」
疲れ果てたような声で久谷はそう語った。
「私は、自分の婚約者を大事に思っています。愛しているのは彼女だけだ。彼女以外は考えられない」
「そうなんですね。では、やはり、あの話は穂乃花の勘違いだったわけですね」
俺がはっきりと伝えると、九谷は少しホッとしたような明るい声を出した。
そんなところを申し訳ないが、本件に関しては「穂乃花の勘違い」ではなく、「紗雪の勘違い」であることを伝えなければならない。