叶わぬ彼との1年先の縁結び
ep.3 とうとう婚約者に……
ついに今日、ご両親への挨拶のため三雲家にやって来た。
洋館風の立派なお屋敷の大きな門扉をくぐると、ますます緊張感が高まってくる。
(あぁ、緊張で吐きそう……)
こないだ初めて会ったばかりの三雲さんに、さらに初めて会うご家族。一体どう接すればいいの?
「会話はすべて俺に任せてくれればいいから」
三雲さんからそう言われてたので、余計な事を言わずに大人しくしていよう。
「紗雪さん、ウチの両親は人間不信で疑い深いんだけど、気にしなくていいからね。君はそのままで大丈夫だよ」
(いや、気にするなって方が無理!)
唐突に物騒な情報を投げ込むのはやめて欲しいんですけど……
「初めまして、紗雪さん。雅之の父です」
「こんにちは、紗雪さん。雅之の母です」
「初めてまして、月名紗雪です。本日はありがとうございます」
最初の印象は、とても穏やかそうなご両親に見えた。
広い居間に案内されて、これまた広いテーブルの席に着いた。
テーブルには見るからに高価なティーセットでお茶の用意がされていた。
「今みたいにお名前を呼んでみると、本当に似てるわねぇ」
お義母様は優雅な微笑を浮かべた。
(……なぜだろう、この人は微笑んでいるだけなのに、心の中を見透かされているような気持ちになってくる……)
なぜだか迷宮に迷い込んだみたいな気持ちになってきた。
「まぁ、あなたはとても良い子のようね」
(いっ、いきなり、どっ……どうしたの!?)
何にもしてないのに突然ほめられるなんて、逆に何かしてしまったの!?
「紗雪さん、母は初対面で相手が信用できるかどうか見分けることができるんだ。あくまで母にとっての価値基準だけどね」
三雲さんがにこやかに解説を始めた。
「紗雪さん……あなた本当に良い子だわ。目を見ればわかるの」
「うん、わかるなぁ。俺もそう思ったから」
なぜか誇らしげに同意する三雲さんがいた。
(いやいや、私は心の中では結構シビアなツッコミを入れたりしてますよ!?)
「むしろ、雅之に騙されているのではないかと心配になってくるわ」
「ははっ、そんな人聞きの悪いことを。彼女に誤解されるじゃないですかー」
お義母様の勘、鋭い。
そしてまったく意に介さず優雅に笑う三雲さんがいた。
「そうそう、2人の馴れ初めを聞かせてくれないかな?」
お義父様がさらりと新たな話題を振ってきた。
「そうよねぇ。雅之ってばそこは話してくれないんですもの。でも2人はお付き合いをしていたわけではなさそうよね?」
やっぱり何となくわかってしまうものなの?
それとも夫人の勘が鋭いから?
「出会ったのは最近です。仕事の出先で偶然知り合いまして、俺が彼女に一目惚れしたんです。それで即プロポーズしました」
息を吐くように嘘をつく。一目惚れ以外は正しいけど。
洋館風の立派なお屋敷の大きな門扉をくぐると、ますます緊張感が高まってくる。
(あぁ、緊張で吐きそう……)
こないだ初めて会ったばかりの三雲さんに、さらに初めて会うご家族。一体どう接すればいいの?
「会話はすべて俺に任せてくれればいいから」
三雲さんからそう言われてたので、余計な事を言わずに大人しくしていよう。
「紗雪さん、ウチの両親は人間不信で疑い深いんだけど、気にしなくていいからね。君はそのままで大丈夫だよ」
(いや、気にするなって方が無理!)
唐突に物騒な情報を投げ込むのはやめて欲しいんですけど……
「初めまして、紗雪さん。雅之の父です」
「こんにちは、紗雪さん。雅之の母です」
「初めてまして、月名紗雪です。本日はありがとうございます」
最初の印象は、とても穏やかそうなご両親に見えた。
広い居間に案内されて、これまた広いテーブルの席に着いた。
テーブルには見るからに高価なティーセットでお茶の用意がされていた。
「今みたいにお名前を呼んでみると、本当に似てるわねぇ」
お義母様は優雅な微笑を浮かべた。
(……なぜだろう、この人は微笑んでいるだけなのに、心の中を見透かされているような気持ちになってくる……)
なぜだか迷宮に迷い込んだみたいな気持ちになってきた。
「まぁ、あなたはとても良い子のようね」
(いっ、いきなり、どっ……どうしたの!?)
何にもしてないのに突然ほめられるなんて、逆に何かしてしまったの!?
「紗雪さん、母は初対面で相手が信用できるかどうか見分けることができるんだ。あくまで母にとっての価値基準だけどね」
三雲さんがにこやかに解説を始めた。
「紗雪さん……あなた本当に良い子だわ。目を見ればわかるの」
「うん、わかるなぁ。俺もそう思ったから」
なぜか誇らしげに同意する三雲さんがいた。
(いやいや、私は心の中では結構シビアなツッコミを入れたりしてますよ!?)
「むしろ、雅之に騙されているのではないかと心配になってくるわ」
「ははっ、そんな人聞きの悪いことを。彼女に誤解されるじゃないですかー」
お義母様の勘、鋭い。
そしてまったく意に介さず優雅に笑う三雲さんがいた。
「そうそう、2人の馴れ初めを聞かせてくれないかな?」
お義父様がさらりと新たな話題を振ってきた。
「そうよねぇ。雅之ってばそこは話してくれないんですもの。でも2人はお付き合いをしていたわけではなさそうよね?」
やっぱり何となくわかってしまうものなの?
それとも夫人の勘が鋭いから?
「出会ったのは最近です。仕事の出先で偶然知り合いまして、俺が彼女に一目惚れしたんです。それで即プロポーズしました」
息を吐くように嘘をつく。一目惚れ以外は正しいけど。