叶わぬ彼との1年先の縁結び

ep.4 2人でいても……

夕食後、新しい自分の部屋で荷物の整理をしていた。

オフホワイトと淡い色合いでコーディネートされたインテリアからは優しさと癒しを感じた。
 
ベッド、ミニソファ、ローテーブル、デスクが置かれていて、収納には広いクローゼットが備え付けられていた。

何も伝えていなかったのに、色々と気がついてくれる人なんだな。

私のためにここまでしてくれて、申し訳ないと思う。

最初に提示された通りに事を進めてくれていた。

だから私も依頼された通りの対応をしなくては。

トントン

ノックの音がした。

「今、入っても大丈夫か?」

「はい、大丈夫です」

三雲さんは遠慮しながら私の部屋に入ってきた。

「食事の後半、元気がなかったから心配になって」

「えっ……」

(私の様子を……気にしてくれていたの?)

「眠たいのかなと思ったけど、やっぱり疲れてるよな……急にバタバタと決めて本当に悪かった」

照れくさそうにしながら真摯な態度で伝えてくれる姿に、なんだか胸の奥に温かい思いが込み上げてくるを感じた。

「いえ、全然疲れてないから大丈夫です。三雲さんの方こそ、忙しい中で色々と用意して下さってお疲れだと思います」

「このお部屋もすごく素敵です。本当にありがとうございます」

「紗雪さん……」

染み入るような声で私の名前をつぶやくと、なぜか明るい表情へと変わる。

クールな表情に明るさがパッと増すと、なんだかちょっと可愛い感じになる。

「紗雪さん、明日の昼頃、少しだけ出掛けても大丈夫かな?」

「はい、大丈夫ですよ。行ってらっしゃいませ」

明るく返事をしたつもりなんだけど、三雲さんはなぜか拗ねてるみたいに見えた。

「いや、2人で一緒に出かけようという意味だったんだけど……」

(今のニュアンスだと、どちらにも取れるような……)

「えっ、あぁ、そうなんですね。……はい、大丈夫です。ちなみに、どちらまで?」

「買い物に付き合って欲しいんだ。場所は近いし、疲れるような事はないから」

「……はい、わかりました」

何を買いに行くのだろう。電化製品かな?

それよりも2人で出かける時、ちゃんと対応しなくては。

「それと、お風呂沸いたんで、先にどうぞ」

そう伝えてから三雲さんは部屋を出ようとして、なぜか一度振り返ると私を見つめた。
 
まるで気がかりな事でもあるみたいな感じで。
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