叶わぬ彼との1年先の縁結び
ep.10 6月の出来事 雅之side
「ウチの会社が協賛してる映画の試写会があるんだけど、行ってみるか?」
夕食のテーブルでそう紗雪に提案をした。
「試写会……。良いんですか?」
紗雪はそうつぶやくと、パッと目を輝かせた。
「もちろん。実は俺も詳細はこれから見るんだが……」
そう言って、会社から送られてきた映画情報をスマートフォンで確認する。
「恋愛映画と……ホラー映画だな」
「また極端な2つですね」
まずはあらすじをチェックするとして……。
「恋愛の方のあらすじは、別れた元恋び……これはやめておこう。好みじゃない。眠くなる」
説明の途中で却下した。
主人公が別れた恋人をいつまでも未練がましく想い続けていることが主軸のストーリーだった。
婚約者をわざわざ複雑な気待ちにさせてしまうような内容は避けた方が良い。
それに俺が無神経だと疑われてしまう。
そして、もう1つはさらに論外だった。
ちゃんと確認してから紗雪に伝えれば良かったと、この短い時間の中でものすごく後悔していた。
さっき提案したばかりなのに申し訳ないが、今回の試写会は見送らせてもらおう。
そう思っていたら……
「では、ホラー映画ですね!」
紗雪の目は爛々と輝いていた。
「エッ……。紗雪、ホラー映画得意なのか?」
「得意というほどではないですが、結構大丈夫な方だと思います」
その顔つき、十分得意だろう。
人は見かけによらないと言うが、まさにその通りで、紗雪はホラーが得意で、自分は苦手だった。
しかし、最近の紗雪は、こうして一緒にいることに安心感を持ってくれているように見える。
ここが自分の居場所だと感じてくれていることに、ようやく2人が始まったのだと思えた。
だから、紗雪を傷つけてしまっていた事をわざわざ蒸し返すような事はしたくなかった。
俺はホラー映画を観る覚悟を決めた。
出会ってから4ヶ月、季節は6月になり、自分の気持ちも前を向いていた。
「雅之さんは、ホラーが苦手なんですか?」
なんの先入観もなく、純度100パーセントの善意で聞いてくれている。
ここで素直に苦手だと白状し、試写会の代わりに現在上映中の映画を観に行けば良い。
カップルシートだろうが何だろうが、そんなものいくらでも予約してやる。
そう思っていたのだが……
「いや? 全然平気だ」
この天邪鬼な口が勝手にそう動いてしまっていた。
夕食のテーブルでそう紗雪に提案をした。
「試写会……。良いんですか?」
紗雪はそうつぶやくと、パッと目を輝かせた。
「もちろん。実は俺も詳細はこれから見るんだが……」
そう言って、会社から送られてきた映画情報をスマートフォンで確認する。
「恋愛映画と……ホラー映画だな」
「また極端な2つですね」
まずはあらすじをチェックするとして……。
「恋愛の方のあらすじは、別れた元恋び……これはやめておこう。好みじゃない。眠くなる」
説明の途中で却下した。
主人公が別れた恋人をいつまでも未練がましく想い続けていることが主軸のストーリーだった。
婚約者をわざわざ複雑な気待ちにさせてしまうような内容は避けた方が良い。
それに俺が無神経だと疑われてしまう。
そして、もう1つはさらに論外だった。
ちゃんと確認してから紗雪に伝えれば良かったと、この短い時間の中でものすごく後悔していた。
さっき提案したばかりなのに申し訳ないが、今回の試写会は見送らせてもらおう。
そう思っていたら……
「では、ホラー映画ですね!」
紗雪の目は爛々と輝いていた。
「エッ……。紗雪、ホラー映画得意なのか?」
「得意というほどではないですが、結構大丈夫な方だと思います」
その顔つき、十分得意だろう。
人は見かけによらないと言うが、まさにその通りで、紗雪はホラーが得意で、自分は苦手だった。
しかし、最近の紗雪は、こうして一緒にいることに安心感を持ってくれているように見える。
ここが自分の居場所だと感じてくれていることに、ようやく2人が始まったのだと思えた。
だから、紗雪を傷つけてしまっていた事をわざわざ蒸し返すような事はしたくなかった。
俺はホラー映画を観る覚悟を決めた。
出会ってから4ヶ月、季節は6月になり、自分の気持ちも前を向いていた。
「雅之さんは、ホラーが苦手なんですか?」
なんの先入観もなく、純度100パーセントの善意で聞いてくれている。
ここで素直に苦手だと白状し、試写会の代わりに現在上映中の映画を観に行けば良い。
カップルシートだろうが何だろうが、そんなものいくらでも予約してやる。
そう思っていたのだが……
「いや? 全然平気だ」
この天邪鬼な口が勝手にそう動いてしまっていた。