クールなパイロットは初心な新妻を身籠らせたい
プロローグ
「梢子、俺と結婚してほしい」
デートで訪れた、今治市内にある高層ホテルのレストランでディナーを楽しんだ後、宿泊するホテルの部屋で、突然千早さんこと藤川千早からプロポーズされた。
思いがけない言葉に、私は聞き間違いじゃないかとおうむ返しで千早さんに確認する。
「あの……、千早さん、今、『結婚しよう』って言いました?」
千早さんは、付き合い始めてまだ数か月の彼で、大手航空会社の操縦士をしている。三十三歳の若さで飛行機の操縦桿を握る彼は、女性たちの憧れの的だ。
スペックだけではなく、見た目もモデルや俳優みたいに格好がよく、パイロットの制服を脱いでも女性たちの視線を釘付けにしている。
そんな彼からのプロポーズに、私は嬉しくて舞い上がりそうになるのを必死で堪えた。
千早さんは私の問いに頷いて改めて私に向き合うと、ポケットの中から小さな箱を取り出した。
「俺は、毎日どこかの空を飛び回っているし、すぐに連絡を取れる環境にない。加えて遠距離恋愛で梢子に不安を抱かせてしまっているのは重々承知しているけれど、その不安を解消したいのは俺も同じなんだ。だから……、花澤梢子さん。俺と、結婚してください」
その言葉を聞いた途端、私の視界は驚きでじわじわとぼやけ始めた。そして頬には、涙が伝う。
うそみたいだ。まさか、付き合い始めた時も千早さんが告白してくれると思ってもみなかった上に、プロポーズをされるだなんて。
私、もしかして明日死ぬの……?
感極まって返事ができない私の顔を、千早さんが心配そうに覗き込む。
「梢子……?」
「……ます。私、千早さんと結婚します」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたくなくて、俯いたまま返事をすると、千早さんが私を優しく抱きしめた。
デートで訪れた、今治市内にある高層ホテルのレストランでディナーを楽しんだ後、宿泊するホテルの部屋で、突然千早さんこと藤川千早からプロポーズされた。
思いがけない言葉に、私は聞き間違いじゃないかとおうむ返しで千早さんに確認する。
「あの……、千早さん、今、『結婚しよう』って言いました?」
千早さんは、付き合い始めてまだ数か月の彼で、大手航空会社の操縦士をしている。三十三歳の若さで飛行機の操縦桿を握る彼は、女性たちの憧れの的だ。
スペックだけではなく、見た目もモデルや俳優みたいに格好がよく、パイロットの制服を脱いでも女性たちの視線を釘付けにしている。
そんな彼からのプロポーズに、私は嬉しくて舞い上がりそうになるのを必死で堪えた。
千早さんは私の問いに頷いて改めて私に向き合うと、ポケットの中から小さな箱を取り出した。
「俺は、毎日どこかの空を飛び回っているし、すぐに連絡を取れる環境にない。加えて遠距離恋愛で梢子に不安を抱かせてしまっているのは重々承知しているけれど、その不安を解消したいのは俺も同じなんだ。だから……、花澤梢子さん。俺と、結婚してください」
その言葉を聞いた途端、私の視界は驚きでじわじわとぼやけ始めた。そして頬には、涙が伝う。
うそみたいだ。まさか、付き合い始めた時も千早さんが告白してくれると思ってもみなかった上に、プロポーズをされるだなんて。
私、もしかして明日死ぬの……?
感極まって返事ができない私の顔を、千早さんが心配そうに覗き込む。
「梢子……?」
「……ます。私、千早さんと結婚します」
涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られたくなくて、俯いたまま返事をすると、千早さんが私を優しく抱きしめた。
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