策士の優男はどうしても湯田中さんを落としたい
「お姉ちゃん、もしかして知り合い？」

──妹の楓からLINEが来た。

画面を見た瞬間、背中にひやりとした汗が流れた。
まさか、祐が楓と同じ大学で、しかもゼミまで一緒だったとは思っていなかった。
世間って、なんでこんなに狭いんだろう。

（最悪…）

けれど、変に取り繕うのも余計に怪しまれる。
瑠璃は深呼吸して、指を動かす。

「同じ会社で、仕事教えてる子だよ」

送信した瞬間、すぐに既読がつく。
楓からの返信は、思ったよりも早かった。

「えー！そうなんだ。ゼミでも人気あったイケメンだよ」

（やめてよ…）

「まあ、ちゃんとした後輩だから、変なこと言わないでよ」

すぐに送る。
心臓がバクバクしている。
見られたあの夜のことが、頭の片隅から離れない


祐のあの目を思い出す。
探るようで、すべて見透かしているような──あの目。

（…どうしよう）

画面を見つめたまま、瑠璃は深くため息をついた。
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